テストステロンを自然に増やす方法を科学的に説明
テストステロンを自然にふやしてたくましい筋肉を身に着けたい人向けにまとめました。
どういう筋トレをすればいいのか?
まず、最初に筋トレの方法です。レジスタンス運動が効果的といわれています。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います。
レジスタンス運動をすることで、
- テストステロン
- 成長ホルモン
- IGF-1
などの血清中のホルモン濃度が高まります。
ハードな筋トレをすればテストステロン値が増える
1990年代から2000年代初頭に行われた、ビル・クラム博士による基礎研究では、負荷の高いトレーニングをすることで、運動時につかう筋肉量がふえることがわかっています。
例えば、ダンベルとか、複数のうごきを組み合わせるトレーニングとかです。つまり、使う筋肉の数が、5%⇒7%と増えるほどテストステロンも増加するということです。
なぜかというと、テストステロンには同化作用があるからです。同化作用とは物質がくっつくことです。タンパク質はアミノ酸とペプチドがくっついてできます。テストステロンにはそれを促進させる効果があります。
とにかくハードな筋トレをすればいいわけではない
そうすると、めちゃくちゃトレーニングしまくればいいのか?って思いますよね。実はそういうわけではありません。なぜなら、テストステロンの増加は一時的だからです。
マクマスター大学の研究者は、運動後のホルモンは、「運動後に増加する」と結論づけています。運動してないときは増えませんよ、という意味です。
さらにテストステロンの増加は急性なので上昇したままではなく1時間以内に元のレベルまで下降します。
どれくらいテストステロン値をあげればいいのか?
1996年にNew England Journal of Medicineで発表された論文に面白い研究内容があります。
- グループ1:自然なトレーニングを行う
- グループ2は:毎週600ミリグラムのテストステロンを摂取+ウェイトトレーニング
- グループ3:毎週600ミリグラムのテストステロンを摂取するだけ
- グループ4:プラセボ群(何もしない)
結果
- グループ1:lbs(除脂肪体重)+4.4
- グループ2:lbs(除脂肪体重)+13
- グループ3:lbs(除脂肪体重)+6.6
- グループ4:lbs(除脂肪体重)+0
除脂肪体重とは筋肉-脂肪したときの体重と思ってください。なので、+の数値が大きいほど筋肉量が増えたといえます。
プロテイン飲めばいい?やっぱり負荷をあげるべき?
この結果を見ると、結局、プロテイン飲んでテストステロンあげてハードな筋トレをすればいいんでしょ?と思ってしまいますよね。ですが、さきほどいったように、トレーニング前後の急激な増加はあまり意味がありません。
ある文献では、オーバートレーニングは長期的なパフォーマンスの低下をもたらすといわれています。逆に、過剰なトレーニングを長期間に渡って行うとテストステロンは減少してしまいます。
テストステロンを自然に増やす方法はあるのか?
どうすりゃテストステロン値を自然に増やせるんだ!と思うころかと思いますので、その話をします。ポイントはトレーニング量を増やし過ぎないことです。
やりすぎると生理的なストレスが増大します。内分泌系の変化が起きて異化作用が生じます。テストステロンは低下するけどストレスホルモンであるコルチゾールは上昇するという最悪な状態です。
なので、筋トレとあわせて強度の低い有酸素運動を低~中程度の頻度で行うことが効果的です。
どんな食事をすればいいか?
もうひとつ気になるのが食事です。なかでもよくとりあげられるのが大豆食品です。大豆はタンパク質が豊富で健康にもいいです。
しかし、大豆にふくまれるイソフラボンには植物性エストロゲンがふくまれています。簡単にいうと女性ホルモンです。なので、大豆をたべすぎたらエストロゲンがテストステロン値の増加のじゃまをして筋肉が減るという説があります。
結論ですが、大豆はテストステロンに影響を与えません。そもそも、大豆に含まれるイソフラボンの含有量自体ごくわずかです。僕自身、ずっと大豆だけでタンパク質をおぎなってきました。ふつうに筋肉もついてるし全然問題ないです。むしろ消化に悪い肉ばかりたべて腸内環境を汚す方がナンセンスです。
食事でもっとも大事なのは体組成とカロリー摂取量
食事の話になると、「何を食べるか?」ばかりに意識がかたむきますが、大事なのは体脂肪率とカロリーです。
体重を減らせば・・・という話なのですが、減らし過ぎるとテストステロンも減少します。2008年に行われたレスラーを対象とした研究では、2〜3週間のカロリー制限しただけでテストステロンが62%も減少したという結果がでています。
じゃあ、太っている方がいいのか?と思うかもしれませんがそれもよくありません。逆に太っている人は慢性的にテストステロンが低い状態です。つまり、過食もテストステロンを低下させる要因なのです。
バランスの良い食事+高脂肪食が一番?
結局のところバランスが大事です。やりすぎもおさえすぎもよくありません。なので、体脂肪率は10~15%くらいが健康的ちょうどいいです。え?とはいってもテストステロンにいい食事はあるわけでしょ?と思いますよね、するどいですね。あります。
「高脂肪食」です。高脂肪食は低脂肪食よりも総エネルギー量が高く優れものです。ある研究では、低脂肪の食事をするとテストステロンを12%減少し、別の研究では、高脂肪食が若年層のテストステロンを13%増加させたとのエビデンスもあります。具体的なたべものはナッツとかアボカドです。
不足しちゃダメな栄養素は?サプリはとったほうがいい?
不足してはいけないものも知っておく必要があります。例えば、亜鉛が不足するとテストステロンが低下します。ビタミンDもテストステロンの値に影響してくるので日光浴をどれだけしているかは、けっこうカギだったりします。
サプリメントについては、根拠の薄いものばかりなので摂取しないことをおすすめします。そもそも、「自然」じゃないですよね。健康的な体を維持するには人の手が入ったものは極力とらないのが基本です。
睡眠は何時間くらいがベスト?
睡眠時間の減少は、テストステロンの減少と関連しています。2011年に行われたある研究では、1日8時間の睡眠を5時間に減らすと若い男性のテストステロンが10.4%減少したという結果がでています。
セックスが実はカギ?
テストステロンの増加には、性行為も重要な役割を果たしています。人間行動学ジャーナルに掲載されたある研究によると、魅力的な女性と5分間会話するだけで、男性のテストステロンを30%増加させることができるという研究結果が発表されました。
ポルノ映画を見て性的興奮を覚えるとテストステロンの分泌を増加させるという研究結果もあります。脱ポルノ活動家の身としてはまったくおすすめできませんが・・・
あとは、一夫多妻の関係を持つ"男女"もテストステロンが高いことがわかっています。アフリカ系の人とか想像するといかにも!って感じしますよね。つまり、定期的にセックスをすることはテストステロン値を増やすのにに効果的ということです。
ちなみに射精はテストステロンの変化とは関係ありません。実際の射精プロセスはテストステロンではなく、セロトニンと一酸化窒素によるものだからです。
まとめ
テストステロンは運動、食事、睡眠、すべてが最適化されることで、パワフルに上昇します。単純に負荷をあげればいいというものではありません。
あと、筋トレをするときは、体の調子が良いときに行うようにしてください。疲れてるときにやらないのはもちろんですが、僕の体験談からいうと姿勢はものすごく大事です。
考えてみてください。右足だけにいつも体重がかかっている人がスクワットしたらどうなるでしょうか?右足が痛みます。足は腰から足首までつながっているので、ひとつトラブルが起これば、芋づる式で身体に影響を与えます。
腰のバランスが崩れれば、歩き方も悪くなって、首まで痛むことがあります。そのせいで、睡眠の質まで悪くなってしまい、筋肉が全然回復しないという最悪のループにおちいります。だからこそ、休養も視野に入れた上でバランスよくアプローチしていくことが大切なのです。
こういう小さな積み重ねがタフな体格をつくりあげる要因になります。なので、身体のバランスが整ってないときにダンベルとかするのはおすすめしません。ちなみに僕は肉なし、器具なしでどこまでいけるか実験をしています。興味がある方はこちらもご覧ください。